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北欧神話で、若さを保つリンゴが出てくる。
それだけ聞くと、珍しい果物を奪い合うお話かな、と想像したくなるよね。
ところが、そのリンゴを預かるイズンがいなくなると、神々が年老いてしまう。イズンの不在が、神々全体の問題になってしまうんだ。神々の側にも、待っていられない理由がある。
そしてロキ。
問題を起こす側にいたはずなのに、途中から救出へ飛んでいく。えっ、どうして役割が入れ替わるの?
今日は、その曲がり角を一緒に追ってみよう! 答えは、鳥に変わるところだけを読んでもつかみにくい。旅先でロキが何を約束したか、イズンに何を伝えたか、戻すときに誰の力を借りたかを順につなげると、話が見えてくるよ。
読みの土台は、Rasmus B. Andersonによる『若いエッダ』の古い英訳を公開したProject Gutenbergの本文。登場人物の紹介と「Idun and Her Apples」の節を読んだ案内です。日本語訳そのものの引用や、現代の入門書を読了したレビューではありません。
以下ではIdunをイズン、Lokeをロキ、Thjasseをシアチと書くね。訳によって名前の表記は変わるので、手元の本と違っても、まずは同じ役割かを確かめよう。物語の結末と暴力の場面を含みます。リンゴの働きは神話の設定であり、現実の食品や美容の効能ではないよ。
イズンは、神々の若さを支えるリンゴを預かっている
最初に、イズンがいなくなったらなぜ困るのかを押さえておこう。
この英訳では、ブラギの紹介に続いて、その妻としてイズンが出てくる。彼女は箱にリンゴを保管していて、神々は年を取るとそれを食べ、若さを取り戻すと説明されているよ。
ああ、そういう役割なんだ!
名前と持ち物を並べただけでは分かりにくいけれど、食べられなくなったときの神々を考えると、この箱が物語の中でどれほど大きな意味を持つか見えてくる。
だから、イズンを単に「リンゴの女神」と覚えて終わるより、リンゴを預かっている人と、それを必要としている神々の関係で読むと、この後の事件につながりやすい。彼女の不在が、ほかの神々の変化になるんだね。
紹介の場面には、聞き手がリンゴを大切に守ることの重要さへ反応し、語り手が、一度危ないことがあったと示すくだりもある。すぐに長い事件の説明へ進まず、まずほかの神々の紹介が続くよ。
ここは読書の小さな手がかり。あとで誘拐の話を読んだとき、名前が初めて出た人の突然の災難として見るより、すでに大事な役割を教えられていた人の不在として読める。
もし手元でノートを作るなら、この段階では二行で十分。
「イズン:リンゴを預かる」
「神々:年を取るとリンゴを食べて若さを取り戻す」
系図を全部完成させる必要はないよ。先を読むのに必要な関係を残しておけば、事件が動いたときに戻れる。人物名が多い神話で、最初から全員を暗記しようとすると、話が始まる前に疲れてしまうからね。
なお、ここでリンゴの品種や実際の成分を調べても、神話の中の若返りを説明したことにはならない。現実の果物の話へすり替えず、この英訳が神々とイズンをどうつないでいるかを見よう。
日本語でスノッリの著作を読みたい場合の候補は、谷口幸男訳、伊藤尽・小澤実監修の『【完全版】エッダ―古代北欧歌謡集―』。新潮社の公開目次で、「ギュルヴィたぶらかし」「詩語法」などを収めると確認できるよ。この記事の英訳と日本語の語句が一対一で同じだと保証するものではありません。
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始まりはリンゴ探しではなく、旅先で火が通らない肉
誘拐の話へ入ると、最初に出てくるのはイズンではない。オーディン、ロキ、ヘーニルの三人が旅をしている場面だよ。
食べ物を見つけて牛を調理しようとするのに、肉が煮えない。上にいる鷲が、その原因を自分だと明かし、食べ物を分ける条件を出す。そして、降りてきた鷲が大きな分け前を取ったことから、ロキが棒で打ちかかる。
そこで、棒とロキの手が離れなくなってしまう。飛び立つ鷲に引きずられ、ロキは逃れられない。
ちょっと待って、食事の揉め事から、いきなりこんな危機になるの?
ここを飛ばさず読むと、後の約束がどこから出てきたか分かるんだね。ロキが自由になるために引き受ける条件は、イズンとリンゴをアースガルズの外へ連れ出すこと。
最初からロキとシアチが仲良く計画を立てた、とまとめてしまうと、この追い込まれ方が消えてしまう。かといって、引き受けた条件を実行したことまでなくなるわけでもない。約束へ追い込まれた場面と、その後に彼がしたことは、分けて読もう。
物語を短くメモするときも、「ロキがイズンをさらわせた」だけで終えるより、その前へ一つ矢印を置くと追いやすい。
食事の場の衝突 → 鷲から逃れられない → 連れ出す約束。
これは自分で読むための整理だよ。英訳の文章そのものを書き写しているわけではありません。矢印を付けたら、実際の本文で、その順番になっているか確認してみてね。
この時点でオーディンとヘーニルも旅にいるけれど、後半の救出で誰が行動するかはまた別の確認になる。「主神が出てきたから、全部オーディンの冒険」と先に決めると、ロキの動きが見えにくくなるんだ。
同じく、鷲を単に動物として読むか、姿を変えた巨人として読むかで、次の場面への理解が違う。後で名前が出たとき、先の鷲のところへ小さく「シアチ」と補っておくといいよ。名前が増えたように見えても、実はさっきから同じ相手だった、ということがある。
登場人物の一覧を大きく増やす前に、誰がどの姿なのかを確認する。この一手間で、北欧神話の変身が、知らない人物の追加ばかりに見えなくなる。
日本語の翻訳本文へ進むなら、本の題名だけでなく、スノッリの著作のどの部分が入っているかを見たい。この完全版は、出版社目次に「詩語法」を含む。古エッダの詩集だけを探している場合と、いまの事件を散文の説明としてたどりたい場合では、開きたい場所が変わるよ。
「比べてみよう」と外へ誘い出した後、神々の側に変化が起きる
約束をしたロキは、イズンへ別のリンゴを見つけたと伝え、彼女のリンゴを持って比較するよう誘う。外へ出たイズンを、鷲の姿のシアチが連れ去るんだ。
この誘いの中で、イズンには何が伝えられている?
読者は先にロキの約束を見ているけれど、イズンへ説明された理由はリンゴの比較。読む側が知っている事情と、人物へ伝えられた話に差があるよね。ここを分けると、ただ森へ散歩に出て突然さらわれた、という要約より、連れ出す仕組みがはっきりする。
ただし、その差からイズンの内心を細かく創作する必要はないよ。「どんなリンゴか気になったに違いない」「ロキを絶対に信用していた」などと、説明されていない感情を足すと、本文の案内から別の再話になってしまう。
確認できるのは、どう誘い、どう外へ出し、その後に何が起きたか。まずそこを読もう。人物の気持ちを考えることはできるけれど、「本文にあること」と「読んで考えたこと」を混ぜないでおきたいね。
そして神々が年老いる。ここで、最初に見たリンゴの役割が戻ってくるよ!
イズンの不在は、一人が遠くにいるという出来事だけでは済まない。彼女が預かるリンゴを必要としていた側にも、変化が出る。神々が集まり、最後に誰がイズンを見たかを問うと、ロキと一緒だったことが問題になる。
この順番を見よう。
いなくなる → 神々が老いる → 最後に見た相手を確かめる → ロキへ問いが向く。
調べるときは、神々の力や肩書きの比較より、どの出来事を受けて次の行動が起きたかを追うと分かりやすい。「最強の神は誰?」という別の問いにすると、集まってロキを問い詰めるこの場面の仕組みを見逃しやすいから。
ロキは脅しを受け、イズンを戻すと約束する。そのために必要とするのが、フレイヤから借りる鷹の姿だよ。ここで次の場面へ飛び移る前に、最初の約束と二つ目の約束を並べてみよう。
一つ目は、巨人にイズンを連れ出すことを約束する。二つ目は、神々へイズンを戻すことを約束する。同じロキの行動でも、誰から何を求められているかが変わっているんだね。
「悪役が急に善人になった」と一言で片づけるより、その違いを追うほうが、この物語の動きが見える。人物への好き嫌いは後で考えてもいい。まず、約束の相手と内容を二行に分けて残してみて。
この部分を日本語の本で照合するときも、リンゴについての人物紹介と、連れ出された事件の説明を探すといいよ。同じ神が出る箇所が離れていても、記憶違いだと慌てず、いま読んでいる部分の役割を確かめよう。
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鷹と鷲、木の実と削りくず。救出は小さな姿と待つ側の準備で動く
救出に向かうロキは鷹の姿を借り、シアチが留守にしている間にイズンを木の実のような姿へ変えて運ぶ。戻った巨人は鷲になり、追いかけてくる。
えっ、運ばれるイズンは木の実なの?
ここは名前に続いて、姿も分けておきたいところ! 鷹がロキ、追う鷲がシアチ、運ばれる木の実がイズン。場面に出るものを全部別の登場人物だと思わないようにしよう。
英訳が使う語はnut。この記事では木の実と説明しているけれど、この一語だけから種を特定して、クルミやヘーゼルナッツに決める読み方はしないよ。挿絵で具体的な形を見た場合も、その絵がどこまで本文を描き、どこから描き手が形を選んだかは別の話だね。
帰る側には、速度の違う二羽がいる。待つ神々は、その二羽を見て、削りくずを用意する。鷹が内側へ入ったあとで火をつけ、追う鷲の羽が燃え、シアチは神々に殺される。
ロキが一人で飛べたから全部解決、とはならない。追いかける巨人がいて、着く場所で準備する神々もいる。救出を一本の飛行だけにまとめると、迎える側が何をしたか抜けてしまうんだ。
読むときには、左右へ二つの欄を作るのも一案。
左に「飛んでくる側」、右に「アースガルズで待つ側」。場面が切り替わるたびに、それぞれの欄へ行動を一つ足す。
最初は左にロキの出発とイズンの救出。追跡が始まったらシアチ。右は神々が二羽を見たことと、削りくずの準備。こうして並べると、両方の動きが門の付近で合わさるところを読み直せるよ。
これは映画のカメラを想像して神話を書き換える作業ではなく、本文で語る場所がどう変わるかを確かめるためのメモ。具体的な距離や鳥の飛行速度まで、書かれていない数字を作らなくても整理できる。
炎が出る場面なので、神話の読み物として扱おう。現実に鳥を捕まえたり傷つけたりする方法の説明へはしないね。
そして、ここまでを見てから冒頭のリンゴへ戻ると、「すごい果物が登場した」だけでは終わらなかったことが分かる。守る人が連れ去られ、困った側が動き、運ぶ姿と待つ準備が結末につながっているんだ。
この英訳を読む場合は、節の終わりまで確かめてから次へ進もう。追いかけっこが始まったところで止めてしまうと、火の準備をした人物や、巨人がどうなったかが曖昧なままになる。結末の暴力が苦手なら、その内容を知ったうえで読む範囲を決めてね。
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次に開くときは、「名前・姿・約束」の三つだけ手元へ置こう
さて、この話をもう一度読むなら、どこから始めよう?
人物の説明を全部暗記するより、今回は三つの欄で読めるよ。
「名前」「その場の姿」「誰との約束か」。
ロキは、旅の仲間として始まり、鷲に逃れられない状況へ追い込まれ、イズンを誘い、鷹の姿で救出へ行く。その節で何をしているかを見れば、同じ人物が場面ごとに違う役割を持つことを追える。
イズンについては、リンゴを預かる人物と、運ばれる木の実の姿を結びつけておく。変身前後で別人を増やさずに済むね。シアチも、巨人と鷲の姿を一つに結んで読もう。
あとから英訳の人物別の説明へ戻ると、イズンはブラギの妻、リンゴを守る者、シアチに奪われた者といった呼び方で紹介される。追った事件が、彼女を指す表現にもつながるよ。ここでは詩の全体を解説しているわけではないけれど、あらすじを読んだ後に別名へ戻る入口にはなる。
名前を別の言葉で呼んでいる箇所に出会ったら、「新しい神が出てきた?」と焦る前に、誰のどの関係を言っているか確かめてみて。神話の事件を知ることが、表現を読む手がかりになるんだね。
日本語で読む本を探すなら、今回の候補のISBNは9784103137054。谷口幸男訳、伊藤尽・小澤実監修、新潮社の完全版です。出版社の目次で収録範囲を確認し、手元に旧版がある場合は、同じ書名だけで同じ内容だと判断しないでね。紙の本か電子書籍かも、販売画面で確かめよう。
この記事は公開英訳の該当箇所を読んだもので、完全版の全本文を読了した感想ではありません。日本語版の特定のページ番号や語句を、未確認のまま案内しないようにしています。原語との詳しい比較が必要なら、校訂本文や注釈も含めて確認しよう。
ISBNを照合して『完全版エッダ』の販売条件を楽天市場で確認する
次に読むときは、まず旅先の肉の場面へ戻ってみて。
そこから二つの約束を追い、最後に待つ神々の準備を見る。
リンゴの話なのに、始まりは食事の揉め事。その道のりまでつながると、あの木の実と二羽の鳥が、ぐっと追いやすくなるよ!